透析導入の原疾患となる糖尿病では、合併症の一つに下肢抹消神経障害から下肢潰瘍形成や足趾の変形などが起こります。これは血糖値が高い状態が続いていると血管が傷ついていきます。これにより動脈硬化が進むと脳や心臓の血管が狭くなっていきます。そこに血のかたまり(血栓・プラーク)などでふさがれると、その先にある細胞が壊死してしまうかもしれません。足の血管も同様のことが言えます。
透析で使用している血管は、動脈と静脈をつないで(吻合)シャント血管になります。シャント血管も狭窄や閉塞がありますが、足も同様に足趾の先端は血管が自然にシャントになっています。血管は、栄養や酸素などを運ぶ動脈と体内の老廃物など運ぶ静脈の役割があります。末梢の血管は非常に細い為、中心部の太い血管が動脈硬化で狭くなると、抹消の細い血管まで元気よく血を流すことができなくなり、循環が悪くなる可能性があります。リンやカルシウムのバランスが悪くなると動脈硬化も進行します。
心臓から出た血液が足先に流れる途中の血管に動脈硬化が起こり、血管が細くなったり、つまったりして、十分な血液が足の筋肉や皮膚に流れなくなることで発症する、下肢閉塞性動脈硬化症という病気があります。足の冷えや、しびれ、歩行中に足の痛みやだるさを感じ少し休むと改善したり、安静にしていても足の痛みを感じるなどの症状が発生します。これを間欠性跛行と言い、場合によっては治療が必要となります。